Technology

Personalized Sound Zone

オープンだけど音を閉じ込める。
究極の矛盾を両立させるPSZ技術とは

耳を塞がずに耳元のみに音を閉じ込める技術です。ある音の波形にプラスとマイナスを反転した波形（逆相）を当てると、波同士が打ち消し合って音が消えるという原理を応用しています。通常の音響デバイスは音をより遠くに届けるため、スピーカーユニットをボックスに収納し、スピーカー背面から出る逆相による干渉を防ぎますが、PSZ技術はこの逆相を活用するという逆転の発想から生まれたNTTの独自技術です。耳元付近の360度に音を閉じ込めて音漏れを最小限に抑えるため、いわゆる指向性スピーカーではありません。耳元に密着させる骨伝導のような振動や圧迫もなく、ストレスフリーで聴き続けられます。

何百回にも及んだカット＆トライ

PSZ技術をイヤホンに搭載するため、まずはスピーカーユニットを削減し、極小化。
そこから音漏れを最小限に抑えた音響デバイスとして成立させるために、耳に入る音圧を稼ぎつつ、音質を保つという課題に挑みました。
音を打ち消すために背面から出る逆相の活用するという前代未聞の発想故に製品化も難しく、正相、逆相を出すポート（穴）の配置やサイズ、エンクロージャー内のキャビティ（空間・容積）といった音質に影響する各構造のバランスを定めるシミュレーションやハードウェア改良は何百回にも及びました。高度な音響設計技術を有したソノリティエンジニアたちのクラフトマンシップによって結実したプロダクトです。

PSZが変える未来。
デバイスやサービスで変わる
新しいコミュニケーションの可能性

耳がオープンなのに音漏れを最小限に抑えるPSZ技術は、耳本来の機能を生かしたナチュラルでいてまったく新しいリスニングスタイルを提案しています。飛行機で呼びかけも聞き漏らさずに音響を楽しむことができたり、周りを気にせずに解説を聴きながら静かに芸術鑑賞したり、旅行先等現地の人々と多言語のまま自然に会話できたりする未来を描いています。音のＡＲとして、デジタルとリアルを融合させた体験を創り出すことでコミュニケーション自体が変わるかもしれません。
PSZ技術はそんな新しいコミュニケーションを創出していきます。

Magic Focus Voice

雑音が多い環境でも、自分の声をクリアに
音を仕分け、聞く人のストレスを軽減 “Magic Focus Voice”

NTTが特許を取得した「Magic Focus Voice」。 音が2つのマイクに到達する時間差を利用して音響空間を認識し、話者を特定する「ビームフォーミング」、雑音を除去して音声だけを抽出する「スペクトルフィルター」の2つの技術をハイブリッド処理しています。
雑音に紛れ込んだ音声の推定が難しいスペクトルフィルターには、長年の研究から声の特性を熟知しているNTTのノウハウを凝縮。雑音を含む様々な音が混在する中で、「届けたい音源」のスペクトルを逆算で推定することで、音質を損なわずに、人の耳に合わせるチューニングを実現しました。

リモートワークの普及で生まれた課題
周囲の環境に合わせて高精度の音を届ける

リモートワークが定着する現在、オフィス以外でも自宅やカフェ等からもオンライン会議に参加することが当たり前となっています。一方で、周囲の音が入りこむ等の新しい課題も生まれました。
「Magic Focus Voice」の技術の研究は、2010年代の初めからNTTの研究所で取り組んでいます。「Magic Focus Voice」を車や会議室などに搭載しながら改良をし続け、「声としてちゃんと聞こえるか」という点について何度も研究を行い今に至る背景があります。
この技術を、時代の変化で生まれた新しい課題に合わせ、音声でのコミュニケーションがより重要となってくる現代のイヤホンに関する社会問題に応用し、NTTソノリティでは「Magic Focus Voice」技術を搭載したイヤホンの開発に至りました。
「Magic Focus Voice」には、集音範囲をマイクから口元にかけて絞り込むことが可能な指向性モードを搭載しており、より正確にあなたの「声」を選別できます。
自宅やオフィスの自席でオンライン会議を行う際、自分以外の声や音が入り込んでしまう現代の悩みを解決します。